概念
慢性気管支炎は気道の慢性炎症によって気管支の分泌物が過剰となり、咳嗽と喀痰を長期間持続する病態をいう。
- fletcherの定義
2年以上連続して少なくとも冬季3ヶ月間ほとんど毎日咳および痰が見られること。呼吸細気管支より中枢の気管支(すなわち下気道)を病変の主座とし、この部位における気道分泌の亢進と気道感染の合併を病態の中心とする。
分類
- 単純性慢性気管支炎
- 慢性または反復性化膿性気管支炎
- 慢性閉塞性気管支炎
病因
- 喫煙
- 気道感染
起炎菌としてはインフルエンザ菌をはじめモラクセラ・カタラーリスなどがある。
症状
- 大量の喀痰
- 気道分泌亢進による粘性痰
- 細菌感染による膿性痰
- チアノーゼ
喀痰によって気道が閉塞すると低酸素血症となり、チアノーゼに陥る。
検査所見
- 胸部単純X線所見
気管支壁の肥厚や点状影が見られる。- 軌道状陰影 tram line shadow
肥厚した気管支壁が軌道のように並行して走る線状影である。
- 軌道状陰影 tram line shadow
合併症
病理所見
- 気管支腺の肥大による気道分泌の亢進
- 粘膜細胞の線毛運動の減退ならびに気道感染の合併
起因菌はインフルエンザ菌・肺炎球菌などが多い。- 炎症細胞の浸潤
- 膿性痰の気管支内への集積
治療
- 抗生剤
起因菌はインフルエンザ菌・肺炎球菌などが多く、これらを標的とした抗生剤を選択する。インフルエンザ菌にはアンピシリンをはじめとしたペニシリン系が第1選択となる。 - 去痰 expectoration
参考)東洋療法学校協会編, 臨床医学各論 第2版; p.68-70(呼吸器疾患 – 閉塞性呼吸器疾患 – 慢性気管支炎)
参考)医療情報科学研究所, 病気が見える vol.4 呼吸器; p.238-243 (閉塞性肺疾患 – 慢性閉塞性肺疾患 COPD)
参考)医学教育出版社, 新・病態生理できった内科学 呼吸器疾患; p.205-216 (閉塞性肺疾患 – 慢性閉塞性肺疾患)
参考)矢﨑 義雄 他, 内科学 第九版; p.683-689 (気道・肺胞疾患 – 慢性閉塞性肺疾患)
参考)永井 厚志, COPDの定義, 日呼吸会誌, 42 (8), p.697-699
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