風疹, 三日麻疹 rubella




概念

風疹トガウイルス科に属するRNAウイルス感染による急性発疹性感染症で、三日麻疹とも呼ばれる。好発年齢は5歳から14歳までで、飛沫感染し終生免疫を獲得する。妊婦が初感染を起こすと胎盤を通じて胎児に感染し、心奇形や精神遅滞をもたらす(先天性風疹症候群)。

症状
  • 後頸部リンパ節腫大
    前駆期に出現し、リンパ節腫大は特に後頭部と耳介後部で著明である。
  • 発疹
    発熱と同時に斑状の小紅斑が顔面に突然出現し、急速に耳後部から体幹・四肢に拡大する。発疹は癒合することなく、3日で速やかに消退する。
検査所見
  • 白血球減少
  • 異型リンパ球の出現
合併症
治療

発疹が発症した後3日で消退するため、安静にすれば足りる。

先天性風疹症候群 congenital rubella syndrome

感染経路

風疹ウイルスはまず母体に飛沫感染し、胎盤を介して胎児に垂直感染する。特に胎盤の形成が未熟な妊娠初期に高率に垂直感染し、白内障・心奇形・感音性難聴などの古典的三主徴を生じる。

症状

出生前にはIUGRであることが多い。

  • 古典的三主徴
    • 白内障
      先天性白内障を放置すると弱視に発展する。
    • 心奇形
      特に動脈管開存症や肺動脈狭窄症が多い。
    • 両側性の感音性難聴
  • 精神運動障害
検査所見
  • 尿検査
    尿中の風疹ウイルスを検出する。

参考)東洋療法学校協会編, 臨床医学各論 第2版; p.13(ウイルス感染症 – 風疹)
参考)医療情報科学研究所, 病気が見える vol.6 免疫・膠原病・感染症 第1版; p.230-231 (ウイルス感染症 – 風疹)
参考)医学教育出版社, 新・病態生理できった内科学 第2版 感染症; p.103-104 (予防接種に関して – 風疹)
参考)矢﨑 義雄 他, 内科学 第九版; p.278-279 (ウイルス感染症 – 風疹)


2018年 風疹が流行しています
2018年の10月23日、国立感染症研究所が発表した風疹患者数は1289人で、2017年の13倍を超えています。風疹はくしゃみや咳で感染し、妊婦がかかると赤ちゃんに先天的な障害を引き起こす可能性があります。自分一人の問題ではないのです。このことをよく考え、特に妊娠を希望する女性や同居家族は風疹の抗体検査を受けたり、ワクチン接種をするように願います。

参考)“風疹Q&A(2018年1月30日改訂).” 国立感染症研究所
参考)日本経済新聞社 “風疹患者1289人、昨年の13倍 米は妊婦の渡航自粛勧告.” 日本経済新聞 電子版, 日本経済新聞社, 23 Oct. 2018