2018-a016 寛骨について正しいのはどれか。




1. 耳状面は腸骨の内側にある。
2. 恥骨結節は恥骨体の下方にある。
3. 坐骨棘に大腿骨頭靭帯が付着する。
4. 下前腸骨棘に鼠径靱帯が付着する。

 


2018-a016 寛骨について正しいのはどれか。

1. ○ 耳状面は腸骨の内側にある。
2. 恥骨結節は恥骨体の下方 にある。上方
3. 坐骨棘に大腿骨頭靭帯が付着する。仙棘靭帯
4. 下前腸骨棘に鼠径靱帯が付着する。上前腸骨棘

解答 1

参考)東洋療法学校協会編, 解剖学 第2版; p.187-188(下肢帯の骨 – 寛骨)

寛骨(腸骨・坐骨・恥骨).jpg

寛骨

寛骨は腸骨、恥骨、坐骨の3つの骨が癒合してできる。思春期まではこの3つの骨はY字軟骨により結合しているが、成人ではY字軟骨は癒合し骨化して1つの寛骨となる。 このY字軟骨の会合部は寛骨臼の中心部にある。寛骨臼には三日月型の関節面(月状面)があり、大腿骨頭と関節をつくる。月状面に囲まれた部位を寛骨臼窩があり、大腿骨頭靭帯が付着する。

腸骨:寛骨の上部をつくる。上部の腸骨翼と下部の腸骨体に分けられる。

  • 腸骨翼 ala of ilium
    • 腸骨稜 iliac crest:腸骨翼の上縁。腸骨稜上縁はL4の高さ(ヤコビー線)。
      • 上前腸骨棘:腸骨稜前端の突出部分で、鼠径靱帯がつく。
      • 上後腸骨棘:腸骨稜後端の突出部分。
    • 下前腸骨棘:上前腸骨棘下方の突出部分。
    • 下後腸骨棘:上後腸骨棘下方の突出部分。
    • 腸骨窩 iliac fossa:腸骨翼内面。腹腔の下縁。腸骨筋が起始する。
    • 仙骨盤面 sacropelvic surface:下方の耳状面と上方の腸骨粗面からなる。
      • 耳状面 articular surface:仙骨と関節(仙腸関節)。
      • 腸骨粗面 iliac tuberosity :後仙腸靭帯が付着する。
    • 弓状線 arcuate line 腸骨窩の下縁より恥骨上縁の恥骨櫛に至る。(分界線:岬角 – 腸骨の弓状線 – 恥骨櫛 – 恥骨結節上縁;大骨盤と小骨盤を分ける)
    • 殿筋面 gluteal surface:大殿筋、中殿筋、小殿筋が付着する面である。
      • 前殿筋線:殿筋面の前上方から大坐骨切痕へ向かって走る。
      • 後殿筋線:前殿筋線の後方で、腸骨稜から下方へ走る。
      • 下殿筋線:上前腸骨棘下方から後下方へ向かって走る。
  • 腸骨体 body of ilium:腸骨下部の肥厚している部分。寛骨臼の上の2/5をつくる。

坐骨:寛骨の後下部をつくる。坐骨体と坐骨枝に分けられる。

  • 坐骨体:坐骨上部の大きな部分で、腸骨、恥骨とともに寛骨臼を形成する。
    • 坐骨棘:後内方に向かう突起。仙棘靭帯が付着する。坐骨棘の上下には2つの切れ込み(切痕)ができる。
      • 大坐骨切痕:下後腸骨棘より坐骨棘に至る切れ込み。腸骨と坐骨にまたがってできる。仙結節靱帯と仙棘靱帯によって閉ざされて大坐骨孔となる。この孔は梨状筋が通ることによって、さらに梨状筋上孔と梨状筋下孔とに分かれる。
        • 小坐骨切痕:、坐骨棘より下方の坐骨結節に至る切れ込み。仙結節靱帯と仙棘靱帯によって閉ざされて小坐骨孔となる。
      • 坐骨結節:大腿後面の筋が起始する他、仙結節靭帯の付着部となる。座位の時に体重がかかる部分
  • 坐骨枝
    • 坐骨上枝:寛骨臼の後下方から始まり、閉鎖孔の後壁をなす。
    • 坐骨下枝:坐骨結節から前内方に進み恥骨下枝と癒合する。閉鎖孔の下壁をなす部分を恥骨下枝と合わせて、坐骨恥骨枝と呼ぶことがある。

恥骨:寛骨の前下部をつくる。恥骨体、恥骨上枝、恥骨下枝からなる。

  • 恥骨体:寛骨臼の前下部をつくる
    • 恥骨櫛:恥骨上枝の上縁を形成した恥骨櫛は延長して恥骨体の上縁となる。
    • 恥骨結節:恥骨体の上縁で恥骨櫛の前端にある小さい隆起部。
    • 恥骨稜:恥骨結節から恥骨結合面の上縁にいたる稜線。
    • 恥骨結合面:左右の恥骨の恥骨結合面が線維軟骨で結合して、恥骨結合を形成する。
  • 恥骨上枝
    • 腸恥隆起:恥骨上枝の上端で寛骨臼の前縁の隆起。
    • 恥骨櫛:恥骨上枝の上縁の部分。
    • 前閉鎖結節:閉鎖孔前縁の上部に見られる小さな結節。
    • 後閉鎖結節:閉鎖孔上縁で寛骨臼切痕との移行部に見られる小さな結節。
    • 閉鎖稜:恥骨上面で外側前方の丸みをおびた隆線。
    • 閉鎖溝:生体では閉鎖孔は閉鎖膜で覆われているが、閉鎖孔の前上部、前閉鎖結節と後閉鎖結節を結ぶ線より上では膜が欠けており、閉鎖管と呼ぶ。閉鎖管は閉鎖動静脈、閉鎖神経が通過する。閉鎖管は閉鎖溝に一致する。
  • 恥骨下枝:恥骨結合の下、閉鎖孔の下縁の前半をつくる部分。

 


いきなり全部は覚えられない
解剖学はとにかく覚えることが沢山。でも治療の基礎をなし、医学知識の根本となるものです。解剖学を知らずして治療はありえません。多方面から分類、分類。そして用語にこだわる。過去問ででてきた用語でわからないものがあれば、必ず調べる。とにかく用語の理解が大切です。コツコツがんばって!

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