骨肉腫 osteosarcoma




概念

骨芽細胞の悪性腫瘍である。骨組織に原発し、腫瘍細胞が類骨ないし骨組織を形成する。成長の著しい長管骨、特に膝を中心とした長骨や上腕骨の骨幹端に好発する。なかでも大腿骨遠位骨幹端と脛骨近位骨幹端からの発生が最多である。

好発年齢は10代で特に骨端軟骨の閉鎖する15歳前後に生じやすい。原発性悪性骨腫瘍の中でもっとも頻度が高く、悪性度も高い。特に肺に血行性転移を生じやすく、この場合は極めて予後不良となる。

原因

原因は不明である。Paget病に続発することがある。なおRb遺伝子の変異を認めることがある。

症状

骨や関節の疼痛と腫脹を初発症状とすることが多い。

検査所見

  • X線所見
    骨皮質の破壊をきたし、骨髄内にも硬化性変化が見られる骨破壊像を呈する。画像上はユーイング肉腫と酷似し、鑑別には生検を要する。

    • 外骨膜反応 periosteal reaction
      反応性の骨新生である。

      • Codman三角
      • sunray spicula
      • 放射状骨増殖 sunburst pattern
    • 髄内性の溶骨性骨破壊像
    • 腫瘍内に腫瘍性の骨新生像
  • 骨シンチ
    病変に高濃度の集積が見られる。またリンパ節転移に石灰化が認められる点が本症に特徴的である。

    • 赤沈亢進
    • ALP高値
    • LDH高値

病理所見

本症は多彩な病理像を呈する。

  • 腫瘍性骨形成
  • 腫瘍性軟骨形成
  • 線維肉腫様の腫瘍組織

治療

化学療法ののちに外科的治療を施すのが原則である。症状が出現した段階ですでに微小転移が存在していることが多く、原発巣の摘出とともに肺転移の消滅が目的となる。なお骨細胞は非再生系組織であるので、放射線感受性は低い。

  • 化学療法
    アドリアマイシン、メトトレキセート、シスプラチン、ビンクリスチン、シクロホスファミドなどの抗癌剤を併用する。
  • 外科療法
    術前化学療法で腫瘍を縮小したあと、腫瘍を広範囲に切除し、骨移植か人工関節の挿入を行なう。

    • 患肢温存術
    • 四肢離断術

近年、化学療法と外科療法の併用で5年生存率が7割まで上昇している。

参考)東洋療法学校協会編, 臨床医学各論 第2版; p.139-140(整形外科疾患 – 骨肉腫)
参考)中村 利孝, 標準整形外科学 第12版; p.370-374 (骨腫瘍各論 – 骨肉腫)
参考)高橋 正明, STEP整形外科 第3版; p.257-258 (疾患各論 – 骨肉腫)

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