2018-a064 COPDで最も特徴的なのはどれか。




1. 肺癌の合併は少ない。
2. 呼気が延長する。
3. 1秒率は正常である。
4. 肺活量は低下する。

 


1. 肺癌の合併は少ない多い 
COPD、肺癌は共に喫煙と密接な関係があり、長尾1)らの調査では喫煙指数の高いほどCOPD、肺癌合併率が多かった。
2. 呼気が延長する。
3. 1秒率は正常である1秒量FEV1と1秒率FEV1%は低下する
4. 肺活量は低下する%肺活量が低下するのは拘束性肺疾患
  • 拘束性肺疾患
    肺間質の線維化などにより肺がふくらまない
    → 肺が広がらず容量が低下するため、息が吸いにくい
    → %肺活量 < 80%
  • 閉塞性肺疾患
    肺胞壁の破壊による肺弾性収縮力の低下
    → 空気を押し出す駆動力が低下
    → 呼気時の胸腔内圧上昇によりン末梢気道が押しつぶされ閉塞
    → 気道の閉塞のため息が吐きにくい
    → 1秒率 (FEV1%) < 70%

解答 2

1) 長尾 啓一 他, 慢性閉塞性肺疾患に合併した肺癌, 肺癌, 26 (2), p.149-156, 1986


慢性閉塞性肺疾患(COPD)

概念

タバコの煙を中心とする有害物質の吸入で肺に炎症が引き起こされ、不可逆的な気流制限が進行性に起こる病態をいう。障害部位が気道中心の場合を慢性気管支炎、肺胞中心の場合を肺気腫と分類しているが、両疾患の特長を有する症例も多く存在する。そこで両疾患を合わせて慢性閉塞性肺疾患(chronic obstructive pulmonary disease, COPD) と呼ぶようになっている。閉塞性障害によって特に1秒率が低下する点が特徴である。

種類
  • 慢性気管支炎
  • 肺気腫
臨床型
  • A型, pink puffer
    代償性の過換気によってよく酸素化されているので右心不全はない。
  • B型, blue bloater
    換気不十分のためにチアノーゼを呈し、右心不全による抹消性浮腫がある。
病態生理
  • 換気血流不均衡
    低酸素血症ならびに高炭酸ガス血症をもたらす。
症状
  • 労作時呼吸困難
  • 聴診にて連続性ラ音を聴取する
  • 肺性心を続発すると足首の腫脹が生じる
    これは静脈圧の上昇によって浮腫が下肢に生じやすくなったためである(抹消性浮腫)。
検査所見
  • スパイログラム
    • 1秒量FEV1の低下
    • 1秒率FEV1/FVCの低下
    • 努力性肺活量FVCの低下
      閉塞性障害があるとairtrappingのためにFVCがVCよりも小さくなる。
  • フロー・ボリューム曲線
    最大流速に達したあとに急激に流速が低下するが、排出される気量は正常である。

    • ピークフローの消失
治療
  • 禁煙指導
  • 薬物療法
    • 気管支拡張剤
    • 抗コリン剤
    • ステロイド剤
  • 在宅酸素療法 home oxygen therapy, HOT

参考)東洋療法学校協会編, 臨床医学各論 第2版; p.66-68(呼吸器疾患 – 閉塞性呼吸器疾患 – 肺気腫)
参考)医療情報科学研究所, 病気が見える vol.4 呼吸器; p.238-243 (閉塞性肺疾患 – 慢性閉塞性肺疾患 COPD)
参考)医学教育出版社, 新・病態生理できった内科学 呼吸器疾患; p.205-216 (閉塞性肺疾患 – 慢性閉塞性肺疾患)
参考)矢﨑 義雄 他, 内科学 第九版; p.683-689 (気道・肺胞疾患 – 慢性閉塞性肺疾患)


マインドフルネスで卒煙
私は一日一箱以上のタバコを20年以上吸っていました。ブリンクマン指数で肺癌が発生する危険性が高くなるという数値を超えて喫煙しました。40を過ぎて結婚し、長く幸せに生き、長く働き、子供を育てるために。お金と自分の健康のために禁煙・卒煙を決意しました。何度も禁煙しては失敗し・・・を繰り返して来ましたが、ヴィパッサナー瞑想を行うことでタバコを卒業することができました。

ヴィパッサナー瞑想では、10日間、誰とも喋らず、ひたすら瞑想をして自己と向き合います。いままで目を背けてきた自分の嫌な部分。さまざまな感情。少しずつ湧き上がり過去を思い出します。いろんな思考が起これば、それを手放し反応しない訓練をします。さまざまな嫌な出来事は避けては通れません。それを逃げるのではなく、冷静に見つめて対処する。過剰な反応をしない訓練が瞑想です。決して神秘現象を追い求めることではありません。

私はヴィパッサナー瞑想で多大な恩恵を受け、今に至っています。その技法を臨床心理学に応用したマインドフルネスが世界中で広まってきています。私は自分に恩恵を与えてくれたマインドフルネスで他の方々のお役に立ちたいと思い、マインドフルネス瞑想療法士(SIMT)の資格をとりました。マインドフルネスや行動変容ステージ理論を組み合わせて、禁煙・卒煙のアドバイスなどもしていけたらと思っています。


次の問題は糖尿病です。

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